魔法の庭は科学室

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2017年11月14日火曜日

ぶどうの剪定(夏〜冬〜春の管理)

ぶどうの剪定
キャンベル・アーリー ラブルスカ種
Campbell Early

「キャンベル」として食用で見かけるものと
ワイン原料「キャンベル・アーリー」は同じです。

コクのある風味が子どもの頃から好きでした。
これは種特有のフォックス臭というらしいです。

スコッチやジンなど香りに特徴のあるお酒が
好きなのも同じ趣味なのかしら?
(筋子も鱒子の方が好き)
(パラダイスティーも好き)

11月の初旬
完全に葉は黄色くなり、ぶどうは完熟
ワイン用に最後の収穫をして剪定をしました。

葉もだいぶん落ちて空が見える

かなり食べたり配ったりしたのですがこの量

実はこのカゴの半分サイズにも入っています

ワインの仕込みのお話はこちらに詳しくかいてあります。
ここでは剪定と冬支度について書いていきます。
剪定は写真ではなかなか伝わりにくいのですが
(写真のフレームには収まらない)

良いぶどうがどれだけ収穫できるかは
剪定にかかっています。
(というか剪定以外の世話はいりません)

剪定は年に2回
弱剪定 夏の盛りの頃(実がついて膨らんで来た時期)
強剪定 冬支度時

夏の弱剪定は「弱」と行っても樹勢が旺盛だとかなりの量になります。
冬支度時には7割くらいの枝を落とします。
次からは剪定のポイントと仕方です。

弱剪定

剪定前に来年の枝を選定して印をつけます。
今年伸びた緑の枝でかつ実がついていない太い枝です。
これを4本くらい選びます。
その他の実のついていない緑の枝は落としてしまいます。

実のついている枝は葉の数を10〜12枚残して先を落とします。
葉は栄養を作る役割もありますが、つるや葉の成長にも栄養が使われます。
必要な葉を残して新しい葉の成長を止めることで、実が大きく甘くなります。

この時期、切っていいのは緑色の枝だけです。
緑色の枝は細胞が新しいので、切っても傷口もすぐにふさがり、
樹液が流れ出ることはありません。

強剪定

ぶどうの収穫後、印をつけてあった枝をメインに残して、他の枝を落とします。
来年実のつく枝がなければある程度の太い枝は樹形を考えながら切ってしまいます。
かなり太い枝で来年度実のつく枝がなくても、
芽がついているものはそれが再来年の枝になるので残します。

雪の重さで折れてしまうこともあるので、予備も考えながら枝を選んでいきます。
大切なのは今年実をつけた枝は全て落とすことです。

昨年出た新芽から伸びた枝に今年実がなります。
今年実をつけた枝には、来年の実のなる枝になる新芽はつきません。
(大元の枝には出る)

実は、樹が大きくなってきたので、メインの枝以外の区別が難しくなって来ました。
実を収穫してしまうと「実のなっていた枝」がわかりにくいので
(交差したりしながらたくさんあるので)
来年からは「実のなっている枝」にも色違いで印をつけようと思っています。

本当は綺麗に枝を伸ばして実を管理すると良いのでしょうが、
時には棚の天井まですっぽり雪に埋もれる我が家の葡萄棚では、
そのような管理しやすい枝ぶりには育てられませんでした。

冬支度

剪定した枝を棚に縛り付けていきます。
雪による枝折れはどちらかというと、上からかかる力でではなく下から引かれる力でおきます。
松の枝吊りと同じイメージで力がかかりそうなところを縛り付けていきます。

同時にやる作業が病気予防などにも大切な作業です。
全ての葉と支枝、巻きひげを落とし、緑の枝は茶色になっている部分で切ります。

キャンベルは病気に強い種類ですが、病気予防を怠ってはいけません。
病気は若い組織を好みます。残しておくとそこから冬の間に全体に侵入してしまいます。
木化した硬い組織で冬の間身を守っているのです。


雪解け時期

積雪量が減って来て、日差しに雪が重くなって来る頃、
枝が折れないように氷外しをしたりします。
この時折れている枝を見つけたら、慌てて応急手当てをします。
完全に折れていない場合は折り取らないで繋げます。
切り口を止める薬を塗り、ラップ、スズランテープなどでグルぐる巻きにします。
折れていた時は薬が活動前に乾くことを期待しつつ、乾かないようならラップでぐるぐる巻きにします。

雪が溶ける頃にはぶどうは活動を開始しています。
枝が折れたりしていた場合は、樹液が溢れてとまりません。

この時期(雪解け時期)には折れ枝などであったとしても絶対に切ってはいけません
折れかけの枝や痛んだ枝などは葉が出始めて、新しい細胞が生まれ始めた頃。
自然に枯れてくるので、それを待ってから切ります。

枝は下に引いて確認しながら棚に縛っていく

太い枝も負荷のかかるところ、下に引かれそうなところを確認して
固定していく

細い枝はまとめて吊っておく


こうやって書いてみるとなんだか難しいようですが、
苗を植えて始めのうちは実のつく枝は限られています。
大きな樹に育つ前にルールを知って実行していれば、自然に身につく技術です。

剪定さえしていれば、他の世話はほとんどありません。
(肥料などは与えていません、過酷な環境の方が甘く育つと言われています)
毛虫がたまにつくのですが、庭の他のものと比べれば少ないので手間ではありません。


8L瓶に2本できました(発酵で膨らむので上までいれない)

ぶどうひとつ育てるだけでも
美味しく楽しく色々な発見があります。

春から秋にかけて庭を彩ってくれ、秋から冬にかけてはワインとなる。
大地の恵みとは良く言ったものです。

ぶどうの実がなるまでの1年間はこちらに記載しています


ぶどう関係の記事はこちら



2021.6.13 更新


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